雪で耐用年数は変わる?地デジアンテナ工事の防雪・融雪対策

テレビアンテナにも耐用年数があることをご存知ですか?アンテナの耐用年数は通常10年程度と言われています。しかし、環境の厳しい地域では天候の影響でアンテナが曲がってしまったり、アンテナを支える土台が劣化して折れたりという思わぬトラブルが起こることがあり、通常よりも耐用年数が短くなりがちです。今回は地デジアンテナ工事の際に行われる雪害対策や、受信障害対策について解説します。

積雪・降雪がアンテナに与える影響

雪によるアンテナへの影響は様々ですが、分かりやすいものはアンテナの形状が変わってしまう例です。アンテナ自体が落下してしまったり、土台が折れる、向きがずれてしまう、ケーブルが切れる・抜けてしまうなどの影響が考えられます。重みでアンテナに負荷がかかってしまうことが原因です。この内、見た目に変化がないのに時間が経っても治らないという場合は、アンテナの向きがずれているというケースが多いようです。

アンテナ本体に異常がなく、テレビが映らなくなる理由として受信障害が挙げられます。天候の影響でテレビ塔や中継地点から発信された電波が晴天時よりも減衰するからです。このためブロックノイズや映らないといった現象が起きます。また、アンテナ本体の上に雪が積もり受信障害が発生することがあります。特に八木式アンテナは重みで負荷がかかりやすいです。このような地域では他の形状のアンテナの検討も必要になるかもしれません。

電波の減衰は地デジだけでなく衛星放送にも起こります。衛星からの電波が地デジ同様に遮られてしまいアンテナへ十分な強さで届かないという現象が起こります。この場合もブロックノイズが発生したり、「降雨対応放送」という画質・音質を大幅に落とした放送に切り替わるなどします。また、衛星放送を受信するパラボラアンテナというお皿(ディッシュ)のような形をしています。そのためディッシュ部分の表面に積もったり氷の膜ができて張り付くことがあります。この場合も正常な電波の受信や反射が行われなくなり、テレビが映らなくなるケースがあります。特にベチャベチャとしたみぞれは、アンテナの表面に張り付きやすいため受信効率を落とすリスクが高くなります。

このように天候などの環境が厳しい地域では、アンテナにまつわるトラブルが多くなり、耐用年数も短くなる傾向があるようです。

アンテナの耐久性能を上げるには

では、アンテナ自体の耐久性能を上げる方法はあるのでしょうか?実はアンテナにも雪害対策用に特化した製品が存在します。
一例としてDXアンテナが販売している八木式の地デジ用アンテナを2種類紹介します。

「UHF16素子リングアンテナ(UAR16P2)」
アンテナの下部にリング素子を設けることで、アンテナに雪が積もっても素子が露出するように作られていて、受信レベルの低下を防止する地デジ用アンテナです。

「UHF14素子アンテナ(UA14G)」「UHF20素子アンテナ(UA20G)」
取付金具の強度(耐荷重)を向上させて積雪の重みにも耐えられるように設計された地デジ用アンテナです。

さらに、壁面用アンテナを使うという方法があります。壁面用のアンテナはデザインアンテナとも呼ばれ、通常長方形でフラットな形をしています。八木式アンテナよりもコンパクトで薄いため壁面やベランダの手すりなどにも設置することができ、悪天候からアンテナを守ることができます。メンテナンスが行いやすいこともメリットです。
ただし、屋根よりも低い位置に取り付けることになるため、八木式アンテナよりは受信電波が弱くなってしまいます。このためブースターが必要になる場合があります。また、電波塔の方向に新しい住宅や建物が建つと影響を受ける可能性もあるため注意が必要です。

BSアンテナの対策についても触れておきます。現在各メーカーが販売している家庭用のBSパラボラアンテナは「オフセット型」という縦の方が長い楕円形のアンテナが主流となっています。コンバータと呼ばれる腕のようなパーツがアンテナの下部から伸びて楕円形のディッシュの方を向いているもので、実際によく見かけるアンテナです。オフセット型は、実際の衛星の方向よりも低い仰角(見上げる角度)で設置して電波を受信することができます。これによってディッシュ部分が垂直に近い状態で設置でき、雪や雨水が溜まりにくいというメリットを得ています。

オフセット型以外にはセンターフィード型アンテナというものがあります。こちらはコンバータがディッシュの中心から伸びていて、オフセット型より小型でも同等の電波が得られますが、上述の通りアンテナに対する環境が厳しい日本ではあまり普及せず、現在は市場には中古品のみ出回っているという状況です。センターフィード型のBSアンテナを屋外で使用している場合は、天候の影響を受けやすいためオフセット型に交換するのも一つの解決策となります。

積雪による受信障害対策にも有効なアンテナ保護方法

特にパラボラアンテナに有効とされるアンテナの保護方法についてまとめてみます。
まずはパラボラアンテナ自体を変える方法です。電波を発信する基地局と受信アンテナの間が吹雪や強い雨で遮られると電波が弱くなってしまいますが、受信するアンテナのサイズを大きくすることで受信能力に余裕を持たせることができます。家庭用のBSアンテナのサイズは直径(アンテナ有効径)45~50センチが主流のようですが、メーカーによっては60センチのアンテナもあります。また、共同受信用のさらに大きなサイズのアンテナを転用するという方法もありますが、受信レベルは高すぎても映らないなど調整が難しいため、専門業者に相談したほうが良いかもしれません。

次に設置場所を変える方法があります。BSアンテナは小さいサイズのものであれば軒下に取り付けることもできます。軒下に取り付けることによって悪天候の影響を軽減できます。あまり屋根に近すぎると屋根が電波を遮ってしまうため、数十センチの余裕を持って取り付けるのが良いでしょう。

アンテナカバーを利用する方法もあります。国産ではスカパー!のアンテナカバーがあり、取り付けることでディッシュ部分を守ることができます。大きなサイズのカバーはインターネットで検索すると海外で多く発売されているようです。アンテナカバーを自作している人もネットで見かけますので参考にしても良いでしょう。

アンテナに撥水塗料やスプレーを塗る方法もあります。NTT関連のNTTアドバンステクノロジが開発したHIRECという超撥水性塗料は、アンテナなどの電波受信設備に特化した撥水塗料で、水膜の発生を抑え雪や雨などがアンテナに付着することによって起こる受信障害を防ぐことができます。この他にも、市販の撥水スプレーなどを使って対策することもできます。塗りすぎると電波が弱まってしまう場合がありますので用法を守って使用するようにしましょう。パラボラアンテナ用のヒーターを取り付けるという方法も有効ですが、日本国内で生産されているものは業務用のため非常に高価です。こちらも海外の通販サイトなどで購入することもできますが、トラブルや事故が起きた場合は自己責任になってしまうため注意が必要です。

映らない原因は家のアンテナ以外にもある?

悪天候の影響で停電などが発生した場合、そもそも電波の中継局が電波を出さなくなってしまう場合があります。この場合はアンテナ本体のトラブルではなく、停電した地域一帯でテレビが映らなくなります。そして、BSやCSはアンテナに問題がなくても天候の影響で電波が届きにくくなることは前述しました。

逆に言えば、BSは映るのに地デジは映らない…という場合は、アンテナの異常が原因である可能性を疑ったほうが良いでしょう。(もちろん地デジでも大規模な電波障害が起こることはあります。)地デジと衛星放送はそもそもアンテナが別なので、このように一方が映ったり映らなかったりという現象が起きます。地デジが見れないと思ったら、BSやCSは映るか?をまずチェックしてみましょう。

これまでの話から、ケーブルテレビはアンテナがないから安心と言えば必ずしもそうではありません。ケーブルテレビはある地点でまとめて受信した電波を各家庭に送信するシステムですので、ケーブルテレビ自体は電波を受信しています。よってこの受信地点が天候により電波が正常に受信できなくなることは起こり得るのです。

まとめ

テレビを見るために欠かせないアンテナですが、適した対策を行うことで耐用年数が短くなることを防ぐことができます。地デジアンテナは強度の高いものや受信レベル低下に対応したアンテナを使用したり、設置場所の工夫をすることで耐用年数を伸ばすことができます。BSパラボラアンテナについてはやカバー・着氷防止スプレー・ヒーターなどの対策が効果的です。地デジアンテナ工事・衛星アンテナ工事を行う際は、お住まいの環境に対応したアンテナ選びや設置方法で行いましょう。また業者に設置を依頼した場合はアンテナの設置場所やメンテナンス方法をしっかりと確認しておくことが重要です。

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